タケルンバ卿ブログ

世界の片隅でだらだら生きる貴族の徒然帳

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日本に豚の生食文化なんてないよ

 豚レバーの生食なんですが。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150612/k10010111691000.html

 禁止になっております。

 しんざきさんに呼ばれたので、ちょっと書いてみたいなと。遅まきながら。

そりゃ規制されるでしょうよ

 結論から言うとこれ。規制されますわな。なので規制自体に反対しません。

 牛レバ刺しが規制された直後に投稿した通りであります。

牛の生食よりもアレ

 そもそもなんで先に牛がアウトになったのか、未だに釈然としません。危険性で言えば、牛より豚の方が高く、牛レバー刺しに規制をかけるくらいなら、豚レバー刺しを先にアウトにすべきだったと思います。

生食における常識度

 とはいえ、この規制のかけ方にはやむを得ない面もあって、「豚をわざわざアウトにしなくても、豚の生食がダメだってことは常識でしょうよ」というところがあります。

 牛肉なんかはステーキなどでレアで食べられることが一般的に知られていますし、タルタルステーキや牛刺し、カルパッチョなどの料理もある。その一方で豚肉はレアで食べちゃダメだよー、生で食べるものじゃないよー、というのはご家庭などでも常識的であったように思います。

 そのため、わざわざ明示して規制をしなかったというのは、法の謙抑主義という観点からも致し方ないのかなあと。法でわざわざ縛らんでも、破る人がいないのであれば縛らなくてもいいだろうと。

 ところが、法によって明文化されなかったことで、それを抜け道とばかりに突かれたと。

豚レバ刺しは牛レバ刺しより危険です

 一般的に豚肉は生食に向きません。それはE型肝炎ウイルスその他の危険性があるから。

E型肝炎ウイルスの感染事例・E型肝炎Q&A|厚生労働省

 参考までに厚生労働省の注意喚起を。この記事がつくられた時期にも注目。2003年の8月の時点で既につくられているというところがポイント。

食中毒の問題ではなく、感染症の問題です

 またE型肝炎ウイルスに羅患する可能性があるという点で、これは食品衛生という観点ではなく、感染症対策であるという点が重要。大腸菌であったりサルモネラ菌であったりは食中毒の観点でのお話だけれど、これは肝炎という感染症に関わるお話。

IDWR:感染症の話 E型肝炎

治療としては、他の急性肝炎と同様に対症療法のみである。

http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_13/k04_13.html

ワクチンはまだ開発されていない。

http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_13/k04_13.html

 E型肝炎は有効な治療法が確立されていない感染症というわけで、なったら最後、治す方法がない。であれば、ならないようにしましょうと。加熱すれば防げるんだから、加熱しましょうよと。まあそういうわけであります。

鮮度とか清潔さの問題ではない

 食中毒ではなく感染症の問題であり、豚という生物の個体特有の問題であるため、素材の鮮度管理とか、調理法であるとか、キッチンの清潔さという観点は意味がありません。そもそも食材それ自体にウイルスがあれば防ぎようがないので。調理環境より生育環境が重要ですし、E型肝炎ウイルスの宿主となってしまう豚という個体の問題であります。

 強いて言えば、無菌状態で生まれ、無菌状態で育ち、無菌状態で製品化した豚の食肉・内臓であれば問題はないかと思いますが……現実的ではないですね。

確実に当たりが入っているくじと、当たりがあるかどうかもわからないくじ

 例えるなら、豚の生食は前者であります。当たり入り。但し当たりを引くかはわからない。運次第。牛は後者。当たり入りかどうかわからない。入っていることもある。そしてくじだから、当たりが入っていたとしても引くかどうかわからない。

 両者とも確率論の問題で、当たりを引くかどうかはわかりませんが、当たりが確実に入っているという点、そして当たったら最後、治す方法がないという点で規制は致し方ないのかなと。

今後の展開

 牛→豚という規制が進んだという点で、今後は鶏の扱いが焦点になろうかと思いますが、鶏の生食で度々問題となるカンピロバクターは、ギラン・バレー症候群との関連性が指摘されております。

http://idsc.nih.go.jp/iasr/20/231/dj2313.html

 この研究の進み方によっては、E型肝炎と同じくカンピロバクターに対する感染症対策として、羅患するリスクのある鶏の生食の規制につながる可能性はあるかと思いますが、日本の場合、鶏卵の生食が十分に可能であるなど清浄性が高く、部位の限定など控えめな規制になるかと思われます。

 また、馬に関してはこれまでに対策が難しい症状の事例が報告されていないこと、他の個体に比較して体温が高く安全性が高いことなどから、新事実が出てこない限りは問題ないと思われます。

 生肉好きからは以上です。