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タケルンバ卿ブログ

世界の片隅でだらだら生きる貴族の徒然帳

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続々々・被災地の今を訪ねる(5)

旅行

続々々・被災地の今を訪ねる(4) - タケルンバ卿ブログ より続きです。

 10月29日。2日目。早めに朝食をとり石巻のホテルを出ます。

 まずは陸前稲井駅の周辺に行きます。


 以前は手付かずだったところも、少しずつ手が入ってきました。

 護岸のために積まれたフレコンパックには番号が書かれていました。これは今回各所で見かけた大きな変化のひとつ。昨年まではこのような番号管理はあまりされていませんでした。地味ながら確実に作業が進んでいる証拠のひとつ。番号管理ができるほどには施工の全容が見えてきている。現状と最終形の把握が進んでいるという証左と思われます。


 護岸工事も各所で進んでいる様子です。

 稲井郵便局に出ました。

2014年11月11日

f:id:takerunba:20141115013034j:plain:w500

 この場所には大きな変化はありません。より住宅地に近い場所が優先的に施工されているのでしょう。

 続いて女川に出ます。

 女川原子力発電所に抜けるコバルトラインに展望台のようなスペースがあります。そちらから撮影したのがこの一枚。正面に土が露出しているところがありますが、これは高台移転の工事現場。平地が少ない三陸では、このような工事をしている場所が数多く見られます。

 沿岸部では再び津波が来た時に危ない。しかし沿岸部以外に住宅を建てられる平地が少ない。そうなるとどうしても高台に移転するということになり、高台を整地する必要が出てくる。

 女川原子力発電所の近くの集落では、実際にこのような工事現場がありました。住宅を移す。移すとなると上下水道を高台に設けなければならない。住宅を建てるためには、建てる場所を整地しなければなりませんし、住む場所として使えるように、上下水道を整えなければならない。排水設備もいる。



 至るところで整地作業が行われています。山を削り平らにする。




 高台が遠ければ盛り土をする。いずれも気の遠くなる作業ではありますが、しかしそれでもこの場所にとどまり、生活するという選択肢をとる以上は、致し方ないことかもしれません。


 生コン工場が増えていたのも今年垣間見られた変化のひとつです。

例えばこれからコンクリートが大量に必要になります。橋梁を作るにも、埠頭をかさ上げするにも、護岸工事を行うのも、そして建築物を作るのにもコンクリートが必要です。

しかしこの原材料となる生コンは、運搬時間に限度があります。工場を出荷して、工事現場につくまで生コン車で輸送するわけですが、輸送する間にどんどん劣化します。目安としては、工場出荷から約90分が限度。

ということは、建設現場から半径90分で移動できる距離のどこかに生コン工場が必要になります。当然、輸送するための生コン車も必要ですし、運転手も必要です。

http://d.hatena.ne.jp/takerunba/20131122/p1

 以前から生コン工場の不足を指摘してきましたが、今回あちこちに建設されている状況を確認して、やっと本格的な復興作業が始まったんだなあと実感します。これまでは生コンが必要なかった。だから生コン工場もいらなかった。今はいる。だから工場がある。

 工場で作られた生コンは、近くの工事現場で使われています。





 橋脚に。




 あるいは堤防に。

津波への備えとはいえ、徐々に姿を現す巨大なコンクリートの壁に、住民からは戸惑いの声も上がる。

http://www.asahi.com/articles/ASH9K630YH9KUQIP05F.html

 こういう意見があることは決して誇張ではなく、実際に見ると巨大なコンクリートの壁の威圧感、異様さがわかります。美しい海の景色が魅力であった三陸から、海の景色がなくなってしまう。しかしながら、津波の被害を防ぐという観点で言えば、仕方ない面もある。このあたりは実際に生活する方々がどう判断するかという自治の問題であり、「quality of life」の問題でありましょう。

 日が暮れる前になんとか宮古市の田老地区にたどり着きました。

 たろう観光ホテルは保存工事が進んでいるようです。

 ホテル裏の高台から田老地区を眺めます。

2014年11月11日

 昨年の風景から何も変わっていないように見えます。

 大きく変わった南相馬、大きく変わりつつある山元、そして大きく変えつつある三陸。福島県・宮城県・岩手県という場所の違いもさることながら、地形などの地理条件や、人口などの経済規模、様々な環境の違いによって同じ復興でも進んでいく道が違ってきているように感じます。

 昨年と変わらないこの景色。来年はどうなっているでしょうか。前向きな変化があることを祈りつつ旅を終えます。

(おわり)

続々々・被災地を実際に巡っての雑感

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