タケルンバ卿ブログ

世界の片隅でだらだら生きる貴族の徒然帳

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たばこ税の話で大事なのは目的

 こういう話には注意が必要。

 さらっと矛盾が混じりこむし、目的と手段が入れ替わることがある。

たばこの税率を上げれば税収も確保され、値上げで喫煙率が下がることも期待されるが

http://agora-web.jp/archives/1649983.html

 実はこのくだりは矛盾する。たばこ税の目的を「国民の健康」とするならば、たばこを買えない金額にまで値上げする=増税をして、売上ゼロ=喫煙率ゼロにすることが望ましい。

 一方、たばこ税の目的が「税収の最大化」であれば、たばこの売上個数×税額が最大になるように、たばこの価格を調整する必要がある。そのため、人々が買えなくなるような税率にはしてはならず、購入意欲を削がない程度の税率に留める必要がある。

 つまり、「たばこの税率を上げれば税収も確保」はされない。「値上げで喫煙率が下がる」ことは期待できるが、喫煙率が下がることで、税収は確保されなくなる。

 このあたりの話は目的税でよく出てくることで、例えば炭素税。温室効果ガス削減のために税金をかけましょうと。あるいはロード・プライシング。都市部の渋滞がひどいので、都市部に入る車両に対して税金をかけましょうと。この両者にしても、税金導入の理想としては、税額ゼロが望ましい。温室効果ガスを出さないエネルギー政策実現=炭素税ゼロであるし、都市部への流入車両ゼロ=ロード・プライシングゼロということになるから。

たばこによる税収は2兆円とも言われ、財務省と厚労省の綱引きになって常に議論になる。

http://agora-web.jp/archives/1649983.html

 何故綱引きが起こるかといえば、たばこ税の目的が財務省側の「税収の最大化」と、厚労省の「国民の健康」とで相反するからで、相反する目的によって、あるべき税率の理想が異なるから。ここはいいとこどりはできない。国民の健康を犠牲にしてでもたばこ売上を伸ばす=たばこ税収増大を目指すか、税収を犠牲にしてでも国民の健康を守る=たばこ税収減少を受け入れるかの問題。

 たばこ税を安くして税収を伸ばし、たばこ以外の健康に予算を振り分けるという発想も実はありだ。喫煙者のお金を老人福祉に回すという割り切りも、選択肢としてはあるんだけどね。海外からの観光客に日本のたばこを目一杯売りつけるんや!

 非喫煙者からは以上です。