こういう記事は本当にクソです。
何がどうダメかと言うとですね。
122人という数字が多いかどうかわからない
数字というのは比較対象がなければ多いか少ないかわからないんですよ。例えば前年の同期間に244人補導されていれば半減となり「めっちゃ減りましたね」ということになるし、逆に61人であれば倍増で「めっちゃ増えましたね」ということになる。
比較対象があって、その結果としての数字があって「多い」だとか「少ない」だとかの答えが生まれ、その答えから生み出されるひとつの結論として「ポケモンGOは悪いアプリだ!」「ポケモンGOは良いアプリだ!」という主張につながるはずなわけです。
しかしながらこの記事には前年同期間との比較すらない。ただ122人。へ? 多いの少ないの?
ポケモンGOと補導の因果関係がわからない
しかもポケモンGOと補導の関係がよくわからない。
記事の見出しが「ポケモンGO:北海道で122人補導」とあるわけで、普通は「ポケモンGO」と「北海道で補導された122人」に因果関係があると受け取りますわな。「ポケモンGO」が原因で、「北海道」にて「122人」が「補導された」と読みわすわな。
「ポケモンGO(ゴー)」の国内配信が始まった7月22〜31日の10日間で、深夜から未明にかけて外でアプリを使っていた12〜18歳の中高校生122人を補導したと発表した。
ポケモンGO:北海道で122人補導 - 毎日新聞
「外でアプリを使っていた」のアプリが、どうしてポケモンGO一択になるのかよくわからない。外でLINEしていたケースはないんでしょうか。いわんやモンスト、グラブル。夏休みなんだし、外で遅くまで友人とメッセージのやりとりしてたとか、ゲームしてたとかありそうなもんですが、なんでそれがポケモンGO一択になるんでしょうね。
補導された場所は路上が75人を占め、現地に行けば特典が得られたり対戦できたりする「ポケストップ」「ジム」が設けられた公園が37人。
ポケモンGO:北海道で122人補導 - 毎日新聞
と、如何にも「路上でやるアプリ=ポケモンGO」であるかの印象操作もされていますが、これもインチキです。
・少年非行の現況
・https://www.police.pref.hokkaido.lg.jp/statis/boy-hikou/data/58.pdf(PDFファイル)
北海道警による少年非行の統計によると、平成27年の深夜徘徊における補導5,306件のうち、路上に分類されるものは3,952件。割合にして74.5%で、元々深夜徘徊の補導は路上でされるもので、122件中75件であれば61.5%なので、むしろ少ない部類に入ります。ポケモンGOと路上での補導件数に因果関係があるのなら、むしろポケモンGOのおかげで、路上での補導が減少しているとすら言えます。
また、実は記事上でも因果関係の希薄さを認識している節があります。
これまでのところ道内で少年の犯罪被害は確認されていないが
ポケモンGO:北海道で122人補導 - 毎日新聞
ないならいいじゃん。……で、どうしてポケモンGOを見出しに持ってきたのよ。
7月の結果発表が遂に
という疑問をこの記事が出た直後に感じ、「これで7月の補導件数が前年比減だったら、記事書いた人、どんな顔すんのかなー」と思っていたわけですが、本日、8月22日ついに7月の補導実績がまとまりましたよ、奥さん!
・北海道警察ホームページ総合案内(サイトマップ)
・https://www.police.pref.hokkaido.lg.jp/info/seian/syounen/hikou-month/hikou.pdf(PDFファイル)
不良行為少年は7,769人で、前年同期比620人(7.4%)減少した。
ポケモンGO:北海道で122人補導 - 毎日新聞
減ってるやないけ!!
北海道の皆様、おめでとうございます。ポケモンGOのおかげで不良行為少年が減ってますよ。
さて問題は報じたマスコミ。果たしてこういう結果を報じるのだろうか。もちろん報じませんよね。でも、因果関係があるかのような報道をした以上、負の報道をしてそれが否定されたら、正の報道をして訂正すべきと思うんです。ポケモンGOと補導に因果関係があるのなら、補導件数が減ったことは、ポケモンGOのおかげであると言えなくもないんですけどね。
ある主張をする場合には因果関係を立証しよう。その過程で数字を使う場合は、きちんと比較対象を明示しよう。以上、タケルンバからのお願いだ。
ちなみに勘のいい人ならわかると思うが、この記事の見出しもやっぱりクソだ。何故って? ポケモンGOと少年非行の因果関係はやっぱり証明されていないからだ。関係ねえよ、んなもん。